妊娠中に気をつけたい感染症シリーズ①:風疹 院長コラム#021

2022.06.20 院長コラム

院長の吉冨です。以前、妊娠中の新型コロナウィルス(COVID-19)感染症について書きましたが、妊娠中は様々な感染症に注意が必要であり、よくご質問を受けます。そこで今回、妊娠中に気をつけたい感染症シリーズと題しまして、しばらくは妊娠中に気をつけたい感染症をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

1回目は風疹についてです。

風疹とは

 風疹という感染症について名前くらいは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?あまり普段の生活の中で気にする感染症ではありませんが、妊娠中にはとても気をつけたい感染症です。

 風疹は発熱、発疹、リンパ節の腫脹を特徴とするウイルス性の発疹症です。症状はあまり認識されない程度のものから、重篤な合併症を引き起こすものまで幅広く、症状のみでは風疹と診断することは困難です。

 風疹の根本的な治療方法はなく、発熱に対して解熱剤を使用するなどの対症療法が主な治療となります。

 

妊娠中に風疹に罹患するとどうなるの?

 妊娠20週までに風疹に罹患してしまうと、赤ちゃんに白内障や緑内障などの眼の症状、心臓の異常、耳が聞こえなくなるなどの先天異常(先天性風疹症候群)を引き起こすことがあります。先天性風疹症候群の発症リスクは感染時の妊娠週数が進むにつれ減少すると報告されています(妊娠46週で100%、妊娠712週で80%、妊娠1316週で4550%、妊娠1720週で6%、妊娠20週以降で0%)。また、最終月経前の風疹罹患では先天性風疹症候群の発生は認められていないとも言われています。

 

妊娠中の風疹検査について

 妊娠初期に風疹抗体価を測定します。多くの場合は初めての妊婦健診の時に助成券を使用して検査を行うことになります。
風疹抗体(HI抗体)が32倍以上ある場合はしっかりと抗体を持っていることとなりますので、風疹の罹患や先天性風疹症候群を引き起こす可能性は低くなるため安心できますが、256倍以上ある場合は現在風疹に罹患している可能性が否定できないため、より詳しく検査をする場合があります。
ワクチン接種歴があったり、風疹罹患の既往があったり、以前の妊娠の際に抗体価が高いことがわかっている場合などでは精密検査は不要です

 

予防について

 風疹はそれそのものを治療することができないため、風疹に罹らないように予防を行うことが最も重要ですHI抗体価が16倍以下の場合は風疹ワクチンの接種が推奨されています。しかし、風疹ワクチンは生ワクチンのため妊娠中の接種ができません。そのため、妊娠前に予防接種を行い、しっかりと抗体ができていることが確認できていると安心です。

 HI抗体価が16倍以下の妊婦は人ごみや子どもの多い場所を避けることと、パートナーや同居している家族、職場の同僚の風疹抗体検査を勧めます。もし、身近な人の風疹抗体価が低ければ、すぐさまその方に風疹ワクチンを接種してもらうとより安心につながります。また、産後は速やかに風疹ワクチンの接種を勧めます。授乳中でも赤ちゃんに影響が及ぶことはありません。

 風疹ワクチン接種後は2ヶ月間の避妊を行うことが必要ですが、接種後に妊娠が判明したり、避妊に失敗したりしても、これまでに風疹ワクチンによる先天性風疹症候群の報告はないため、過度の心配はいりません。

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以上、簡単に妊娠中の風疹について解説してみました。

風疹に関して、ご心配やご質問などがある場合は医師にお尋ねください。