開院から6年が経ちました。 院長コラム#044
2026.10.20 院長コラム
院長の吉冨です。
2026年10月20日で開院から6年が経ちました。
もう新しいクリニックではなく、地域に根付いたクリニックになっているように感じています。
毎年、言っていることではありますが、当院は開院当初からの理念として、医療サービスの質にこだわっています。今でも年々レベルアップを目指し、新たな知見を取り入れたり、マニュアルを変更したりと、日進月歩の医療の世界に取り残されないように努力を続けています。
目標としては、産後の母体搬送および新生児搬送を1年間を通じて0にしたいと考えておりますが、極めて難しい目標であり、我々の力だけでは到底達成し得ません。妊婦さん本人はもちろんのこと、ご家族の理解や協力は必須です。
そういった意味では、私が毎週土曜日に開催している院長クラスはとても重要であり、医療を受ける側が受け身ではなく、自分のこと、これからのことを十分理解し、考え、行動に移せる良い機会であると考えています。
また、多くの方はお母さんも赤ちゃんも何事もなく、産院を退院するものだと考えていると思います。それがどれほど難しく大変なことであるか、私たちの認識とのギャップが大きい部分です。まずは妊娠・分娩を問題なく乗り越えるため、私たちも精一杯努力しますが、皆様にも十分理解をいただきたいと思います。
この6年間で多くの分娩に携わってきましたが、大きな医療トラブルはほとんどありません。産後の母体搬送は残念ながらつい最近初めて1件ありました。事前に十分リスクを説明し、我々としては最善の方針を打診していましたが、しばらく同意が得られず、結果的には想定された事象が発生してしまい、母体搬送にいたりました。ご本人がもっとも大変であったと思いますが、そのご家族や対応に尽力してくれたスタッフ、搬送先の先生方、多くの関係者の方にご協力いただき、現時点で回復に向かっているのが幸いだと思っております。
また、輸血を行った症例は0件で、早い妊娠週数での破水などからの母体搬送は全体の1%未満、呼吸障害等での新生児搬送も同様に1%未満であり、ハイリスク妊娠も多く扱っているクリニックでこのような良好な結果が出ていることに対して、緊急時の体制が十分機能しており、迅速な対応と適切な管理ができていると実感いたします。
このような医療サービスの充実が実現できている背景には、スタッフの努力と貢献がかなり大きく、感謝とともにとても頼もしく感じています。
産科診療は命の誕生に立ち会えるという華やかなイメージが強いと思いますが、その反面、緊急性が高く、24時間対応しなければならないといった過酷な環境下で私たちは日々、患者様と向き合っています。そんな中、理不尽な要求をしてくる方や自身の都合に添えなかった場合に露骨に不満な態度を表す方、スタッフに暴言を吐く方、一方的なクレームを執拗に訴えてくる方など、患者リテラシーの低下を認識する事例も最近増えてきています。産科診療においてホスピタリティは大切なことではありますが、そこを意識しすぎると良い医療の提供はできなくなってしまいます。医療外サービスの充実を求めればそれだけ時間も労力も分散されるからです。とはいえ、それでも理解ある方々からは感謝の言葉をいただくことが多く、私たちもその都度救われています。
「無事に生まれて当たり前」、「自分たちにはなにも悪いことは起きない」と多くの方は思っていると思いますが、妊娠・出産は本当に何が起こるかわかりません。従来、産科診療は医療サービスに重点を置いて病院選びをするというよりも、産後のお祝い膳だったり、エステだったりと医療とは全く関係のない医療外サービスに目が行きがちであり、本来の目的を見失いやすい診療科でもあります。医療外サービスが全く不要とは思いませんが、良い医療を提供することが我々の使命であり、最大の目的であるということは私たちはもちろんのこと、皆様にも是非知っていただきたいことです。
最後に、いつも同じことを述べますが、現在の当院スタッフの多くは本当にレベルが高く、向上心を持って業務を行ってくれている人が多いです。このような素晴らしいスタッフに恵まれたことに感謝しつつ、スタッフの幸せにもつなげていきたいと思います。また、無事に出産してくれたお母さんたち、現在通院してくれている妊婦さん、母児のサポートをしてくださっているご家族、地域の皆様、当院のサポートをしてくれている関係者の方々。当院を支持、理解してくださり本当にありがとうございます。
皆様のご理解、ご協力を今後ともよろしくお願いします。


