妊娠中の体重管理について 院長コラム#006

2021.03.13 院長コラム

今回は妊娠中の体重管理について書いてみようと思います。
妊婦の皆さんは体重のことを言われることをとても嫌がりますが、私たちも嫌がらせをしようと思って注意をしているわけではありません。
なかには怒って帰る方もおられますが、私たちとしては母児にとって良くない事であればきちんと伝えて管理していく責務があります。
なぜ体重管理が大切なのか簡単に私見も含めて解説します。

 

妊娠前の体格と妊娠の予後

やせや肥満の定義は統一されていませんが、日本肥満学会での基準ではBMIが18.5未満をやせとし、BMIが25以上を肥満としています。

BMIとは体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で算出される体格を表す指標です。

やせている女性が妊娠した場合、切迫早産や早産、赤ちゃんの低体重のリスクが高くなると言われています。

一方、肥満女性が妊娠した場合は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩、死産、巨大児、赤ちゃんの神経管閉鎖障害(無脳児や二分脊椎症)などのリスクが高くなると言われています。
できればBMIが18.5~25で妊娠することが望ましいですが、そうでなくとも心配しすぎる必要はなく、妊娠管理をしっかり行えば安全に妊娠・出産をすることは十分可能です。

 

妊娠中の体重増加量の目安

妊娠前のBMIによって適正な体重増加量は異なってきます。

厚生労働省「健やか親子21(2006年)」では
BMI<18.5の場合は妊娠中の体重増加量を9~12kg
BMI 18.5~25の場合は妊娠中の体重増加量を7~12kg
BMI>25の場合は個別対応
を推奨しています。

また、ごく最近、日本産科婦人科学会では体重増加量を厳格に指導する根拠は必ずしも十分ではないと認識し、個人差を考慮したゆるやかな指導を心がけるとして、
BMI<18.5の場合は妊娠中の体重増加量を12~15kg
BMI 18.5~25の場合は妊娠中の体重増加量を10~13kg
BMI 25~30の場合は妊娠中の体重増加量を7~10kg
BMI 30以上の場合は個別対応
と、今までよりも体重増加について寛容な方向で新たに目安を策定しています。
 

妊娠中の体重増加に対する私の考え

妊娠前の肥満に対するリスクについては上記の通りであり、お産を管理する立場からはできるだけ減量した状態で妊娠を考えていただけるとより一層安全なお産を目指せると思います。

また、最近、日本産科婦人科学会が妊娠中の体重増加について今までよりも寛容な目安を策定していますが、肥満の妊婦さんについてはやはり注意は必要で、個別対応となっています。

私の経験上、特に肥満の妊婦さんの過剰な体重増加は分娩時のトラブルが多くなると感じています。
例えば、陣痛が弱く促進剤を投与しても効果が出にくいことがあったり、吸引分娩が技術的に困難になったり、緊急帝王切開時の麻酔の導入が困難になったりと、母児の命に直結する部分で管理が難しくなることがあります。
当然、体重だけの問題ではなく、全ての妊婦さんで分娩時には何が起こるかわかりません。

私たちはできるだけ安全にお産を乗り切っていただきたいと考えており、時には指導を行うこともあります。
どうか、自分と赤ちゃんのためであると思って、真剣に体重管理に向き合っていただきたいと思います。

 

私たちのクリニックは麻酔科医が常駐しているとはいえ、小さな街の小さなクリニックです。
リスクが高すぎると判断した場合はお産の受け入れができません。
目安としてはBMIが32以上となった場合はお受けできない可能性が高いです
また、無痛分娩については特段の安全配慮の面からBMIが28未満の方に限らせていただいております
皆様のご理解のほど、よろしくお願いいたします。